真夏の花火・・・

南端の海辺から一番北の街へ・・・三年ぶりの札幌です。

「街も・・・変わりました。」受話器の向こうからそんな声を聴いていた。コロナ以前の住所にお手紙添えて出したDMもかなりの数が舞い戻って来たっけ・・・それでもみんな待っててくれると言う。

ホテルで起き抜けに観るテレビは日本列島おしなべて連日猛暑を警告してるのに札幌は18℃・・・何か羽織り物なくっちゃ。この北の街があれからどう変わったのか、あちこち探索したかったけれど・・・

飲みに行くぞとばかりすすきの周辺に宿を取ったものの、久しぶりにデパートでの展示会は終了時間まで立ちっぱなし!さすがに70の身にゃ足に堪えます。毎日帰りがけ、ホテルまでの道すがら・・・ちょっと行けば懐かしい馴染みの店があるというのにパンパンになった足の痛さで「もう歩けない!何処でも良いから・・・」行き当たりばったりの居酒屋に途中下車?です。そんな心許ない店での独り飲み・・・異国の独り旅で夕まぐれになると時折過る何処かうら寂しさにも似てなかなか良いもんです。

あの展示会中、ようやくデパート出たら外は雨!日本列島酷暑というのにあの日震えるように肌寒くてたまたまあった蟹味噌ラーメンの看板に吸い寄せられ入って・・・あれは美味しかったなぁ。札幌最後の日、それを思い出して映画で遅くなった昼食にとまたそこに入りました。がらり戸を入った途端、店主は覚えててくれてて「あぁ、今日はクルクルの帽子じゃないんですね・・・」半端な時間に客は誰もいない。問わず語りで私の「蟹味噌大好きよ」の言葉にならば・・・と特別にたっぷりの蟹味噌の皿とビール!がすっと出てきたね!ぐっとビールを飲み干し「あぁビールじゃもったいない!これじゃお酒が欲しくなるねぇ・・・」と思わず呟けば、今度は階上から抱え降りてきて、今度は日本酒三種の利き酒と来た!あの日ラーメン食べに行ってもうほろ酔いでホテルへ帰ったっけ。

一休みして、もちろんまた単館系シアターキノで映画!(これが鹿児島にあったら週3回は通うな・・・)何故か何時も観客4名だけの映画が終わって・・・後は余韻のままに好きなバーです。このバー「タレ目」は札幌穴場!私が来ると分かって店主のD君は暗~い浅川マキでお迎え!(前回はジャニス・ジョップリン・・・喘ぎのサマータイムです。)その次が「ヨーコさん、ヨーコ・・・」を連発のダルな歌ときた!嬉しいねぇ。

6年前、初めてこの北の大地で展示会をさせて頂いて出合った北の若き熱帯魚群・・・それ以来、親子ほど年の離れた私が友達?と言うにはおこがましいけれど、この北の街で出合ったその彼等にもみんな会えました。この閉塞のコロナの時代を彼等は互いに支え合いながら川を遡る鮎のように泳いできたらしい・・・時間の隔たりさえ取っ払ってくれそうな仲間達と熱くそして笑いの弾けた夜々でした。皆と語り合い、シアターキノで珠玉の映画を観て好きなバーに行く・・・何時まで出来るのか、これも取り戻した私の札幌時間でした。

さてこちらも久しぶりの東京。私は北から夫は南から、羽田空港で二人待ち合わせて・・・コロナ以来になるんだなぁ、ここで楽しみなカレー屋アビニョンはもう無かった。電車を乗り継ぎ乗り継ぎで伊勢原の娘宅に着いて三〇分もしない内にもう夫の友人夫婦が車でお迎えに・・・今宵は彼等の家にご招待です。横浜までラッシュの長い道のりで「ここが日本の中のアメリカ・・・米軍基地だよ」と敢えてご案内。はぁ・・・いろいろ想いが過ります。

中学時代、夫と共に同窓生だったこのご夫婦・・・良い感じなんだなぁ。夫の言う・・・犬っころのように群れて遊んでいた友達が何時の間にかある技術者として世界的なスペシャリストに!けれど彼等は素朴な暖かさがちっとも変わらない・・・人間が上質でなのです。そんなご夫婦を観ると嬉しくて私の戯ける口の悪さもマックス!「残り少なくなったこれからの時間を惜しむように食べ尽くそうよ」きっと準備が大変だっただろう心尽くしのお持て成しに感謝しながら、思い出話にみんなで笑い転げたっけ。あれから家に帰り着いてアルバムにあったご夫妻と夫の中学時代の写真の幾枚かを送信・・・60年前のまだ幼さ漂う丸刈りとおかっぱの少年少女達がこの行く末も知らず黄ばんだ世界でぎこちなく笑っていました。

末娘の終の棲家は娘の望み通り自然が間近な環境に・・・中古とは言え家も申し分なく良い造りなのです。コロナ蔓延直後に家を見つけると契約をバタバタと済まし引っ越し、そのまま娘は上の子を連れて二人目のお産で我が家へ。どうやら娘一家は幸福ごと家を買ったらしい・・・あの慌ただしい中での選択が全て”吉”と出た!

近くの公園の小さな蓮池にはカワセミもいるという。「ねぇ、戸袋で磯ヒヨドリが卵を産んだのよ」美しい野鳥の青い小さな卵なんて・・・もう浪漫です。その雛も巣立って行ったらしい。また上の子が育ていた蛹が蝶にかえって・・・デッキで子供等が見守る中、ひらひらと飛び立ちながらお礼でも言うように庭先の大きなミモザのてっぺんに止まった。送信されてきたそんなビデオに彼等の幸せ感が溢れていました。

滞在中、私が東京に用事、娘も急用で出かける事に。結局婿殿が幼い子供達を連れ夫を鎌倉へご案内・・・まるで映画「東京物語」婿版?!です。だから夫にしっかりお金を持たせたのに気の利かない夫の財布はそのまんま・・・「あ、そうか。思いつかなかった・・・」役立たずの夫です。

そしてもう一人・・・私と気質の似た夫の従姉妹はもう私の妹です!東京では何時もセレブの彼女のご招待・・・けれど今宵は私達のセレクト、新宿の安い居酒屋で落ち合った。いろいろあって・・・雨降って地固まったんだねぇ、ずっと健気だった彼女も遅まきながら60を目前に今青春突入?!らしい。立ちこめる煙の中で彼女のからからと幸せな笑い声が響きました。

あれから潮風漂う家に帰り着いて・・・遊び疲れのまま展示会後の慌ただしい雑務をこなして、今度は以前からお約束の日南での花火大会です!この友人宅のデッキからから見下ろす油津の海に打ち上げられる花火・・・今回は福岡の友人に地元の友人も参加!です。彼等2人は夫の高校の同窓生・・・熱くほろりとするような本当に良い奴らなのです。50年以上の付き合いの中でここ10年余り、彼等も実家の親を見舞うための帰省で何時も中央駅付近の居酒屋で落ち合ってそれぞれに散会・・・そんな4人呑みが続きました。あれから親を見送った友人と独りは母上が施設に入られたため・・・また昔のように我が家に泊まっての飲み会復活です。

だから自由になった今、今度はもはや私の実家のような日南の友人夫婦の家へご案内。我が家で落ち合って私の運転する車で風光明媚な日南までの2時間半のドライブ・・・私の運転を「ぶっ飛び姉ちゃん!」なんて揶揄されながらわいわい騒いで車内はまるで修学旅行です。せっかくみんな集まるのだからと来月の日南夫婦の誕生日会までを勝手に引き寄せて・・・それまでに慌ててプレゼント製作にH氏の癌克服の表彰状にメダルまで準備万端です!迎える彼らも待ってましたとばかり、心尽くしの海の幸がテーブルいっぱいに並べられ・・・夜は布団ずらりと並べて私達の真夏の2日間合宿!?いい大人?否、老人達が6名・・・世に拳を上げつつまた花火のように気炎を上げ楽しく騒いだ夜でした。次ぎはこのメンバー、秋にある私の福岡での展示会にまた全員集合!らしい・・・ですぞ。

しっかり働いてがんがん遊んだ今月、あれから雑事をこなしあちこちお礼状をいっぱいしたためて・・・何故か疲れもなく気力充実!この猛暑続きの最中にもしかして私、年齢を逆走しているかも知れません。

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