酷暑の拾い食い…

酷暑といわれる今年、各地で友人達と会い、贈り物をせっせと作る。はたまた9月福岡の展示会でまた例の連中が勢ぞろい…それで仕事の合間に自分のウィクリーマンション手配に彼らのホテル、飛行機、高速バスの手配と雑務が目白押し!ネットで探し地図で確認etc全部プリントアウトして送付まで…合間にDM制作とこれまた雑務で多忙でした。できない人は簡単でいいよなぁ…彼らから涼しい声で「ありがと…ね」と。私、年を逆流してます。こんなエネルギッシュでいいのか!と吠えていたはずなのに・・・やはり来ましたね。夏バテです!

福岡の展示会まであとひと月となった今になってある日体中からエネルギーが漏れている。朝の散歩ですかさず散歩お仲間が「珍しいねぇ、Yちゃんの口の重さは体の重さ…」と指摘。まさしく!人から言われなきゃ自分の体調すら気づきません。言われた通りあれから三日間…澱んでました。

こうなりゃお昼にはがつんと力の入るお食事して(食欲だけは何故か落ちません)、涼しくした居間で映画三昧と行くか!

こうして昼も夜もだらだら映画にドキュメントです。以前から見ようと思ってたのに見損なっていた日本映画(もうどれもこれも安っぽいプラスティックの匂いで観られない!)そう端ら避けていた。だけれど「悪人」これは観たいと思いつつ…10年も過ぎてようやくです。そして切なかった!二人の若い役者が演じ切りました。自分の寂しさにも気づかず社会に埋没しながら生きている…何処かにいそうなこんな若者、そんな二人が危ない橋の上で出会ったしまった。肌を温めあい、初めて自分の孤独さに気づきその刹那に二人は愛という温もりを火花のように求め合う。もう後戻りできない紛れもない純愛でした。久しぶりで匂いの立ち上る日本映画を観た思いです。

人生のそれなりの波も凪も切り抜けて…今幸福に、極めて平穏に暮らす私達ですがまだ熱い炎は消えていません。70過ぎても私達二人は恋愛体質!こんな熱い血の逆流が愛しいのです。

振り返れば贅沢に愛を頬張り恋もして、蠅のように元気な子供らがたかっていた幸福あり、好きな仕事に旅etc…傍らには今も私への愛を際限なく放出し続ける夫がいて…今はべた凪の美しい夕景に染まっているような、そんな日々。だから人生に何の不足もありません。ただ私はちょっとだけ切なさの拾い食いをしたいのです。何故か巷に人知れず咲く花の一瞬の愛を乞います。

父と義父…私の二人の父が言い当てた私の三大要素「出しゃばり・外国かぶれ・ざる」正しく!お見事!私はその三つから成り立っていると…父親たちのこの簡潔な分析に脱帽です。けれどその三大要素から成り立つ女・私の馳走が”切なさ”なんて…あの単純な父親たちには分かりますまい。

私の生まれ育った田舎町の猥雑な界隈はそのまま日本の原点です。単純で可哀そうで生温かい愛があそこそこに生まれては消えていました。思春期になるとあの界隈で私は背伸びして遠くを夢見ました。「海は広いな大きいな、行ってみたいなよその国…」小さい頃うたった歌の通り、あれから海の向こうのいろんな国を旅しました。けれどそんな界隈の匂いが私の肌に沁みついているのでしょう。結局何処に行ってもそんな巷に咲く花を愛しく切なく思うのです。それは楽園のように能天気な私の中に降る小雨なのです。愛を頬張りながら切なさの薬味まで…何から何まで食べつくそうと思う私は今更ですが大いなる欲張り!なのでしょう。

ロシアのウクライナ侵攻から半年たちました。アメリカではトランプが勢いを増して…ファシズムの足音が響いてきます。北極の氷が例年の4倍ほどの速さで崩れ落ち、世界中で猛暑…川底が現れるほどの乾燥続き。良い時代を謳歌した私たちの後に続く世代の憂いを思います。

 

 

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