小さな”旅”と”大きな旅”・・・

 この夏のSのための大イベントを終え…集結した我が家の子供等も時間差で散会。その後コロナでプツンと切れていた”私の旅”の準備に向かう。その前に…以前から約束していた女連れのプチ修学旅行⁈が待っていた。何時もは気ままな独りプラプラが好きな私の方が彼女らに声を掛けたのです。まだ突っ張ったまま右にも左にも行けた自由な学生時代…あれから半世紀が経っていました。独りは今は民生委員として何時も忙しなく周りへの心配りに奔走し、十代で母親を亡くした一人は…あの頃今で言うヤングケアラー?今でも母親代わりを脱却できないまま、苦労続きでストレスが大きく渦巻く中で年を重ねていました。地元にいてもめったに会うことのない彼女達ですが…たまに地元での展示会ともなれば変わらぬ友情を引っ提げて現れる方々です。何時もは自宅に引きこもって制作か、もしくは旅の空⁈の私がたまに招くのは気の置けない男どもばかり…。けれど今期はいろいろあって二十年ぶりにお休み決定!「じゃぁ…家へ遊び来る?」女達へのこのお誘いに凄く喜んでくれたので…ならばいっそのこと近場の”旅”へ…となった次第です。共に忙しい彼等ですから、ただの一泊!ですが…されど”旅”です。もう9月半ばというのに依然として30度越えの日々が続いていました。私は10月初めに異国へ旅立ち…その前に宮崎詣でもあります。だから後に押せない猛暑の中で女旅?決行…。

 柳川には以前夫と来たことがあった。家の窓のすぐ下を水路が流れ、昔はこの川面に降りる階段で女たちが洗濯をしたのだろう…その暮らしぶりが身近に感じられる掘り割りを小舟で巡った時だった。昼下がりのかったるい時間…在る家からピアノの音がポロポロンと流れてきたのだ。良い風情だった。夫と二人、造り酒屋だった白秋の生家を訪れた時、昔白秋にいかれた頃もあって…「やはり、生まれが違うねぇ」互いにそう呟いたものだ。

 彼等二人にはこれが久しぶりの旅⁈とあって互いに何を着ていくか、何を持って行くか…とメールで連絡し合ってたみたい。たった一日なのに…彼等のいそいそぶりが目に浮かびます。私の方は住まいが空港に近いこともあって仕事の移動はもっぱら安い飛行機…のんびり新幹線や電車にバス乗り換えなんて私も久しぶり!同じ九州の柳川にしろ、たった一泊だって”旅”の匂いがしてきます。日頃女友達と買い物したり、ランチしたり、連れだって歩くことすらない私…この日は添乗員気分⁈後で分かったのですが学生時代、私の舎弟⁈のようにくっついていた友人Kはこの日、昔のようにのたっぷりと私との会話を楽しみにしてくれていたらしい。けれどKの可笑しさの腕は50年経っても落ちていませんでした!柳川に着いて、町を囲み流れる水路を揃いの編み笠を被って船で巡れば…川面を走る涼風に癒やされゆったり旅気分。空はとんと抜けて初秋の秋空が広がっているのに…その時突然の雷の音!昔っから彼女は雷が怖かったっけ。低い橋をくぐる度に船に這いつくばるし…船頭さんが白秋の生家近くで「からたちの花」を歌えば、歌に自信ある彼女はソプラノで蕩々と歌い出すし…人って変わらないなぁ。女旅?なのに…私は女連れ?に馴れていません。ホテルに着いて夕食前のひとっ風呂…無残に崩れたこの身体は未だに夫にも見せられない!私は今でも暗がりの恋⁈ましてや同性だからといって…然りです。だから誰もいないのを見計らって交代で露天や大浴場に入りましたが…”湯”は和ませますねぇ。食事で選んだホテルだったけれど…ホテルお料理に変わりは無いけれど日本酒進みましたねぇ。最後に鰻に合うお酒と勧められて呑んだ”菊美人”きりっとしてフルーティ中々良いねぇ…そんなこと言ったからだろう、翌日、彼等二人から「Tさんと一緒に…」とお土産に貰ったそのお酒は麗しであった彼の姉君の嫁ぎ先の造り酒屋へ献上…白秋自身の直筆だったらしい。翌日の暑さでもう何処へ巡る気力も落ちて…白秋の生家でまったりした時間が流れます。「白秋って少し軽くない⁈」の友人の軽い呟きに即・渇!そげ落としの外連味について…昔みたいに横柄な持論?展開です。ゆったり過ぎるほどこの館で過ごし、炎天下をようやく開いていた鰻屋にしけ込んだのだが当りだった!昼間のビンビールの美味しかったこと‼大満足で帰途につきました。

 あれから…私の旅の‼に向けて気もそぞろです。何せコロナでずっと続けていた旅の遮断があって、おまけに最後はアジアの方だったし…あれからユーロが上がって足踏みしてる間にイタリアは7年ぶり!もうすっかり旅のノウハウなんて忘れちまった‼二十日余りのギリシャとイタリアの宿は既に押さえたとしても、やらなきゃならない雑事がまだわんさか!レンタルwifiはどこが安いか、旅行保険加入に季節の変わり目の着る物、履き物、おまけに私ときたら被り物?まで…しかもなるべく安く少なく‼だから大変なのです。しかもこの間の”旅”で白秋を思い出したその後…永田耕衣の男ぶりの良い俳句を思い出して仕舞い込んでいたお気に入りの限定本を探し出し、土壺‼出発するまでイタリア語をもう一度やるかぁ…なんて時間は結局無かった!

 昨日お彼岸…昼過ぎに父母の生まれ故郷・川辺まで走って…もう既に叔父叔母もいなくなり、何れ兄も車で来れなくなれば墓仕舞いするだろう。青々と稲穂が揺れる田の間を車を走らせながら、ここにももう来なくなる日が近いのだと感じた。その後まだ青空が残っている内に市内にある夫の両親の墓へ…。コロナという閉ざされた時間が風習まで変えてしまったのだろう。あれから…家を出て町に行った子供等の盆・正月に帰省という習慣が途絶えてしまったのかも知れない。巨大な霊園のあちこちに墓仕舞いの後が点在し、勢いよく夏草が茂っていた。

 

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