初めての地、福井の展示会から戻ってまいりました。
名古屋まで飛んで後は列車。
手元には内田百閒の本・・・
この気難しいおじさん、よほど列車がお好きらしくまるで子供のように列車が軸にすべからく回転しているらしい。
その列車に揺られる彼の本のページを捲りながら、移り行く実際の車窓の景色が彼の時代と随分変わってしまったと思う。
私には初めての路線、米原で新幹線を特急「しらさぎ」に乗り継いで琵琶湖沿いに北上しながら降り立った武生駅。
人影もまばらで私の住んでる田舎町よりもさらに鄙びた印象だ。
さあ、目指すはその名もgekkoucafe。ここで展示会!
今年は違う街で!そんな希望が娘の友人のご紹介でここに辿り着いた。
明けて初日!駅前の印象から思いもかけない北陸のお洒落な熱帯魚がわんさか・・・
何より蠱惑的なオーナーはきっぱり、きりりとした女性。彼等から「姉さん」と慕われ抜群の信頼度で結ばれているらしい。
そんな温かなお膳立ての処へ私の帽子の展示会をひょいと楽して乗っけてもらった訳だ。
私の調子に乗った毒舌も彼等から小気味よく笑い飛ばされる。
見知らぬ街の居酒屋まで独り歩いた真っ暗な夜道に虫の声、見上げれば半月のお月様…「ああ、旅だな」良い気分です。
オーナーのM嬢をはじめ何れも昨日まで知らなかった北陸の熱帯魚!何処か皆温かいんだなぁ・・・。
取り分け娘の友人・U嬢にはお母様まで…お世話になりました。M嬢の惚れた夫君Tさんにもお世話になりました。
彼らの若い息吹がグーっと全身を突き抜けて
「また彼らを悩ませるものを作りたい!」なんて私はまた調子に乗ってやる気が!気力補充です。
みんなみんな有難う!こうして北の見知らぬ土地が忘れえぬ土地になりました。
・・・いろんな想いが広がってまた姶良に帰る日、台風です!
列車を乗り継いでどうにか帰れたものの被害は甚大でした。
(10日前、こんなこと書いたまま福井に行ったのですが…)
・・・真夏なのにまるで梅雨のようにじとじと雨・・・この天候不順は極地豪雨となってついに水害までもたらした。
地球の肺と言われるアマゾンはまだ燃え続けてる。
長い長い地球の歴史でいえばたった1mmにも満たないこの百年余りで便利さを追求した人間による破壊・・・
地球いったいどこに向かってるんだろう。
もう十年あるのか無いのか、私達世代・・・何かに抵抗し「地球は広い!」といろんな夢を持てたっけ。
地球の存続なんて・・・これからの若者たちに課せられた課題は重い。
小さい頃、起き抜けに冷たい手を火鉢の縁で暖めた。母が火を熾してくれてたから。
西瓜を川で冷やして・・・それでも「冷たい!」と感じた。
夏の夜は蚊帳を張って母が寝付くまで団扇で扇いでくれた。
― ― ― ―
あれからすぐに炎天下!ここへ台風の直撃で千葉では強靭な鉄塔が脆くも倒れ・・・広域で停電に断水。
本当に緑滴る地球はどうなってしまったのか、ここ100年余りの人間のもたらした発展が自縛の紐になってしまった。
帰りの列車でまた百閒の本を捲りながら車窓を眺める。営々と繋いできた人々の暮らしが大きく変わってしまった。
何が幸福なのか・・・
ネットが怒る社会を滑走し、行き場のない人が地球を漂う。自分達の利益だけを追求する人が政権を握りetc
第二次世界大戦に入る頃もこんな風潮だったのではないかと不安が過ります。
ここに来てまた新たに温かな人達と巡り合い、人生のそんな深さをしみじみと感じながら・・・こんな想いに耽ってます。