今日三人目の孫が生まれました。末娘の初めての子供です。
爽やかなこの5月に、長い長い苦痛の夜を超えて…彼はやって来ました。
彼はお腹にいた時からすでに名前も持っています。
「・・・君」お腹に優しくそう呼びかける娘・・・若く子供達を生んだ私とは何もかも違います。
何も分からないままつぎつぎ4人の親となって、まだ私も子供でした。若い夫も同じです。
すでに母もなく何時も独りで、意地で歌を歌いながら子供を産んで・・・でもその時はそれが当たり前と思ってました。
でも出産てこんなに大変だったんだ。
苦痛にゆがむ娘の顔・・・早く逝ってしまった母の面影が重なります。
婿がやさしく娘の手を握り、額の汗を拭きます。二人で「・・・君」を迎えるのです。
我が極楽とんぼ殿は出産の度、お酒を飲んできて、何時もほろ酔いで「もう生まれた?」なんて言ってましたっけ。
もう何十年も昔の話です。こうやって鉄の女?が産まれる所以です。
私と違って長い長い二昼夜の苦痛の後・・・生まれた瞬間、婿は泣いていました。
お腹にのせられた赤ん坊の頭を撫ぜながら「・・・君、よく頑張ったね、お利口だったね」
甘ったれの末娘はもう母親です。頑張ったのはあなたですよ。
若いまま親になった私にあんな風な気持ちはなかったなあ・・・。
でこぼこ親のまま子供達と暮らし、送り出して・・・今でもで二人でこぼこのまま年を重ねてます。
ただ、愛は一杯あります。溢れるほどいろんな愛を一杯見つけて人生を歩いて来ました。
「人生は素敵だ」その言葉だけが私達の子供等に渡せるカードかも知れない。
売れなかった絵と帽子と好きな本たち・・・それ以外子供等に残すものは何もありません。
「幸せだった思い出」が唯一の贈り物です。