初春に…

水仙の清い香りが流れて…初春のお喜びを申します。
また新たな年の始まりです。
昨年末、旅から慌ただしい師走の街に舞い戻って首尾よく年末年始のやるべき事にすぐさま取り掛かるつもりでした。
ところが・・・十数年ぶりにひどい咳喘息を引き起こし、先の見えないまま遂に寝正月へと突入です。
辛うじてそれぞれの墓参りはできたものの、「無理しなくたって良いじゃないか」の夫の声で
二十数年続いたクリスマス会も杵でつく餅つきも全部お預けです。
結婚以来初めて飾り餅を買いました。
彼の苦々しく言う「あなたは本当にイベント好きなんだから!」
そう言われればそうだなぁ・・・ 
幼い頃クリスマス・ツリーを飾る時やもうすぐお正月というわくわく感!
もう70歳目前というのにこのそわそわした気持ちから離れられません。
それらは早く亡くなった母への思い出に繋がります。
その思い出をなぞるように私も子供達と夢のようにそう過ごし、そして今その子供らが自分の子供にそんな時間を紡いでいる。
母から貰った夢を見るというバトン、これは幸せの連鎖だったんだ・・・
そう思うと改めてあの時代少女っぽい面影を残したいた母へ「ありがとう」です。

暮れに平成最後の年に当たって天皇陛下のお言葉が一斉に放映されました。
改めて陛下として過ごしてきた人生、社会へ向けられた想い、傍らを歩まれた皇后への愛に溢れた労い・・・感銘を受けました。
84歳という高齢にもかかわらず素晴らしいスピーチ・・・穏やかな言葉の下には強い平和への意志と弱者への想いが
ご自分の立場の枠を通してでき得る全ての事を言い尽くされていたように思います。
ウルグアイに「世界一貧しい大統領」と言われたホセ・ムヒカという人がいます。
社会が発展し続ける事は何を失い何を得る事なのか、「幸福とは何か」彼はまっこうからこの現代社会に問いかけています。
世界はかつて敗戦国で焼け野原と化した日本の短期間での高度成長に驚きと称賛の声を挙げます。
確かに飢えが満たされれば衣・食・住へと人の欲望が時代の進化を進めてきました。
競争が富と敗北者をもたらし・・・またそれらが新たな戦いへと掻き立てて時代は突き進んでいくのでしょう。
世界中を巻き込んだ第二次世界大戦。あれで私達人間は学んだはずでした。
けれどあれからベトナム戦争が、中東の紛争はテロを生みやがてイスラム国という国なき戦闘集団が、
アフリカ各地で欧米の絡んだ民族紛争がetc ”人を多く殺した方が正義になる”これが戦争の実態です。
もう傷の疼きを知らない世代に代わってしまった所為でしょうか、
それに逆行して今世界中どんどん不穏な空気が蔓延しているようです。
陛下のお言葉の中にはかつて海を渡って新たな大地へ入植してて根を張っていかれた方々への労いと共に
それを受け入れ育んでくれた国への感謝は時代を越えて
今同じように夢を描いて日本に来ている若者達へ温かな手として差し上るべきと・・・
今の時世に静かにそして正しく石を投じて下さったように思えます。
新年を迎えようやく迎えた我々”不良老人?の飲み会”でもこの話に話題沸騰でした。
湖面をこの静かな波が弧を描きながら広がっていけば…と念じます。

若い頃”戦争を知らずに僕らは育った”という歌が流行りました。
親世代が辛酸を舐め、それを聞きながら育った私達の世代は何かから解き放たれたように自由を闊歩したものです。
その世代がまた親となって私達は何を子供らに教えてきたのか・・・
互いに目で見、実感できるのは三世代です。
この三世代で何が大事かをしっかり申し送りしなければ大切なものは
やがて希薄な玉手箱になってしまうのかも知れません。

夫々の地で暮らす子供ら家族・・・新年、彼らの声を電話の向こうに聴きながらそんな事を思いました。

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