海風と唄・・・

新緑香しく百花繚乱の季節だというのに、朝から雨、雨…

今年はもう梅雨入りなのかな?生温かい靄が山を包んでいます。

桜の季節が遥か頭上をかすめ行き過ぎ、今また新たな変異株急増とコロナの重苦しいニュースが巷を流れています。

こんなお家時間も二年目・・・

昨年は春から日南のH氏の突然の余命宣告で怒涛の日々を過ごし、だから昨年の今頃は桜どころじゃなく・・・

それがH氏の奇跡の回復で今や癌ゼロ!今度はゆっくり彼は根治治療に向かいます。

三月久しぶりの福井での展示会が終わると・・・(たぶん6月の長崎は無理!)

私の方は仕事もなく何処かお出かけって事も出来ず、ひたすらステイホーム。

都会ではコロナ禍で行き場を失い路頭に迷う人々があぶり出されている時に・・・そう思いながら

15年ぶりの休息は目の前に広がる海、松林を抜ける風音に若葉に覆われた山を仰ぎ見る日々・・・

大きく育った春楡の木陰に可憐な下野草やびよう柳にずいな…

デッキ脇にはアスチルべに白ねむ、幾種類もの薔薇にくちなしにスモークツリーetc…庭のそんな小さな花々が寄り添ってくれます。

二人だけになった家のどの窓からもさわさわと緑の葉音・・・「ここに来てて良かったねぇ」と思わず夫の呟きが。

何時もならば展示会続きで一番忙しい季節!庭の花を横目にアトリエ漬けの日々が今年はゆっくり日が過ぎて…

一応親らしく子供、孫らに懐かしのちまきを送るのを思い付いたほど。

あんなに「時間がない!」って言ってたのに、こんな状況だから夜明けから深夜まで今はたっぷり自分の時間です。

けれどいざそんな時間を手に入れると、切望してあれもしたいこれもしたい!が”ひねもすのたりのたりかな⁈”です。

切羽詰まらないと仕事にもエンジン掛からないし、さりとて今夢中になってる作家もなし。

私の場合、一日のサイクルは追っかけられなければ何かを作り出そうとしないみたい。

アトリエで何か工作しようかな…と思う間に、家事と散歩と映画、陽が傾き始めれば今宵の料理を楽しみ美味しいビールを流し込む。

特別な何も無いけれど贅沢なほどたおやかな時間です。

 

先日家に遊びに来たY氏、今さらですが音楽に無縁?の彼から教えてもらった歌姫アンジェリーナ・ジョーダンに驚嘆しました。

あの”暗い日曜日”を幼いハスキーな声が哀しみを燻らしながら歌いあげます。完璧でした。

急ぎ彼女が歌ってるはずと探せば・・・やはり・・・若い日好きだったビリー・ホリディやジャニス・ジョップリンを歌っています。

幼い彼女に何故この哀しみが歌えるのだろう…彼女の歌声に陶酔です。

海辺での早朝の散歩でのフランス語ワンフレーズ・レッスンはこれまで私を魅了してきた人々の音楽と変わりました。

人気のない河川敷の目の前には海も山も希望に満ちた初夏の薄水色の世界が広がります。

そこにまだ幼い彼女の静かな熱唱・・・こんな場所に不似合いの深い悲しみの唄が心揺さぶるのです。

この”心揺さぶれる”って素敵ですね。言葉・唄・絵・・・何であれ揺さぶられるなんて素敵です。

今世界中に蔓延してるコロナ、そしてどんどん足音が大きくなるファシズム、人種・性に関わる問題etc

手を挙げなきゃいけない事が一杯あるけれど・・・酔いしれるほど素敵な事もあってほしい。

我が夫・T氏はその何かを掴むために今日もアトリエでキャンバスに向かってます。

私の方は今は少し休憩・・・キッチンで音楽掛ければ頭の中を彼女等の唄が巡って…

悲しみの唄にしっとり浸されて素敵な気持ちになるなんて…私って残念なほど何て健康!

ない物ねだりか、そんな”切なさ拾い食い”を満喫しています。

5月は大好きだった耳たれ犬のトトを山で拾った月。孫のクレアにあお君が生まれ、夫の誕生日。

続いて奇しくも誕生日が一緒の孫のアンジュと私の番・・・さぁプレゼントの用意です!

 

 

 

 

 

 

 

 

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