半世紀前の街角に・・・

このところ梅雨間、長梅雨だったはずがこの所小休止・・・

青い空は望めなくとも重たい空は日差しを遮り好都合!お陰で朝の散歩は続きます。

6時半に浜辺に出れば何時もの散歩組がそぞろ歩いてます。

そんなご近所さんとたわいないお喋りの後、神社の猫達への餌を運んだ後は

人のいない堤防を風に吹かれながら海を眺めながら・・・塩田跡の湿地に集う野鳥の声や聴きながら・・・

ボサノバ大音量で歩けば目の前には青く霞む山々となだらかな海。時たま海際を二両電車がのんびり走って行きます。

なまくらな私が意を決して早朝散歩初めて8カ月!T氏が眠ってる間のこの早朝の時間。

夫が目覚めるまでの独り散歩で出合う世界と二人過ごす時間、どうやら今の私の暮らしは二分されるようです。

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さて今月は長崎で初めての展示会。

コロナ状況を計りつつ・・・長崎の展示会に向けて準備万端!このペースならば余裕です。

独り暮らしの友人を呼んで、日南に遊びに行ってetc …ゆっくりゆっくりしたもんだ!

立て続く互いの誕生日や孫たちの誕生日イベントで気づけばもう6月前半 、DM準備に慌てました。

末娘に無理言って最速でDM仕上げてもらい無事セーフ!おまけに第一回ワクチン接種もセーフ!

チケットや宿の手配も済まし週末は約半世紀ぶりの長崎へ・・・

そう長崎は新婚旅行以来なのです。

出合い頭の恋から9か月目にはもう結婚したのです。

結婚する事がどういう事なのかも分からず、迷いの恋が消えぬ間にばたばたとレールに乗ってしまった!

それでも「遠野を歩きたい…」みちのくに思いを馳せ、そんな浪漫な新婚旅行を希望したものの

その時私はもう懐妊していました。「近場でなければ…」と医師の注意で急遽長崎に変更。

若い時から私は人の愛玩した物・骨董が好きだった。だからせめて遠い異国の匂いが染みついた街へ…

眼鏡橋を渡って骨董屋を探し歩きました。夫はモチーフになる瀬戸物の白いミルク瓶を…

ガラス瓶の他異国の古い絵皿と江戸時代の招き猫・・・もう小さなバッグはパンパンです。

当時宅配などない時代でみんな自分で持ち帰らなくてはいけません。

そんな時美しい柱時計に巡り合ったのです。

時計…時を刻むこのゼンマイ仕掛けの音も振り子もその細工もみんな心惹かれる素材なのです。

この柱時計は遠く海を渡って来て時を刻んできたんだ…そう思うだけで心時めいて私はどうしても欲しくなりました。

ぐるぐる長崎の街を歩き回りながら「やっぱり、あの時計が欲しい…」夫にそう言えば

「僕にこれからあの時計を持って歩けって言うのか!」あの時彼はすごい形相で怒りました。

それでその時計は諦めて旅を続けたのですが・・・あの時計がずっと頭を離れなかった。

けれどあの時の招き猫も古いガラスの一輪挿しも幾多の引っ越しも着いて来て今も海辺の我が家で眠りこけています。

あれから・・・長崎は近いけれど遠かった街。

傲慢夫の拘束から自由を獲得し、40過ぎて飛び出した街はもう一足飛びに海を越えた異国でした。

海は広いな大きいな~行ってみたいな他所の国・・・子供のころ歌った歌の通り幾度も幾度も海を越えて旅をしました。

一年半前、こうしてコロナ禍で大きな街で展示会が出来なくなって…ようやく今年から遠巻きに活動開始。

縁あって長崎での展示会・・・だからこの街へは半世紀ぶりなのです。

まだ街の何処かに私達の喧嘩の欠片が街角の何処かに風化したまま落ちてるかも知れない。

49年前、まだ世の中の何も知らず大人のつもりで結婚した私達が辿り着いた場所・・・

この地球に問題は一杯あるけれど、これからいろんな愛に出会い少しの苦みと豊かな時間を貪り食うんだよと

あの時街角で喧嘩した若い私達にそっと囁いてあげようか。

 

 

 

 

 

 

 

 

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