赤とんぼ・・・

ある日突然蝉時雨が終わったと思ったら、途端に無数の赤とんぼが夕空を飛び交います。

風の中にも涼やかな澄んだ光が・・・空高く山もどこか秋めいた色に変わりました。

真夏に長雨が続いて・・・不安定だった夏もようやく秋へと変わるようです。

予想は着いたことですがオリンピックに重なるようにコロナ禍5派が猛威を振るい、日本国中、皆じっと立ち止まったまま・・・もう何処へも行けません。

だからひたすらステイホームの変わらぬ日々を楽しく!と、遊びと料理に励みます。

先月孫娘のために作ったキャロットちゃんと絵本つくりが楽しく・・・私の遊びに火がつきました。

ならば今月はまた10月誕生日のもう一人の孫娘のために彼女に似たマリオネットを作ってあげよう!と奮闘。

イメージはその孫娘5歳になるCちゃん。このコロナで会えないまま・・・何時の間にかもう少女の面影すら感じられるようになった。

くるくる巻き毛は息子譲り、そのルーツは私から母へと繋がります。

少女らしくなったおしゃまな彼女の写真を見ながら・・・けれど「似てないなぁ」馴れない粘土は上手くいきません。

おまけに手足に首も動かせるとなると・・・久しぶりにすったもんだです。

粘土が乾燥すれば思ってた以上に重く、もろかった木質粘土・・・誤算でした。削ったり中身を抜いたり・・・やる気が足下から崩れそう・・・

けれど婿殿の「新しいキャンバスに逃げる・・・」は彼のもの!・・・これで「やめた!」をしちゃ私が廃ります。

私のしつこい気質に「喝」を入れ、二、三日おいて仕切り直し、もう一度トライです。

そして・・・・どうにか完成です。

くるくるヘアーを作って貼り付け、帽子も細いストローをミシンで縫って、靴も型取りから革で仕上げ・・・

小さな服を仕立てればCちゃんからちょっと離れた少女がそれなりに仕上がりました。肝心なのは幼い彼女が喜ぶかどうかだったのになぁ・・・

最後にマリオネット仕立てに工夫して・・・どうにか完成!マリオネットに遊び遊ばれました。

そんな合間に、もう18年も前、夫のリタイアを機に私達二人初めてのトルコ~サハラまでの三ヶ月の長旅の記録を改めて冊子に作りました。第二の人生スタート!と踏み出した旅・・・写真の二人もまだ若いなぁ。本当にあれが人生の第二章の幕開けでした。

幸いなことにどうにか路頭に迷うこともなく、贅沢に飽きたという不幸もなく

朝は世の出来事に憂い、怒り・・・けれどコロナで休業中の今、毎日それぞれ有意義に?しっかり遊んでます。

しっかり遊べば夜のお料理も楽し、故にビールの旨いこと!!

 

今その遊びの一つがが終わってまたパソコンに向かって昔の旅の話を書き始めました。誰かが待ってるわけでもないけれど・・・

パソコンが家になかった時代、まだ私に何かしら書くなどという習慣はありませんでした。

だからパソコンを購入するまでの30年ほど前の旅の話がすっぽり抜け落ちていたのです。

けれどそんな旅に持参した手帳だけは記念にと初めての旅からずっと取っていました。

今では引き出しの中にそんな旅の欠片のように夥しい手帳が残っています。

記録の抜けた2回目の旅スペイン~モロッコ~ポルトガル・・・

その30年近く前の記憶を手帳で辿っていけばいろんな人との出会いが思い出されます。

あの頃からひとり旅を始めて・・・もう遠い記憶になっていたそんな時間が鮮やかに蘇ります。

そこには旅の途上で出合った人々、交わした言葉・・・それらが記憶に封印されていました。

その手帳に走り書きされた旅の日々を追っていると、その時の状況が周りの匂いや湿りまでも鮮明に立ち上り温かさに包まれるのです。

あれからどれほど多くの人と言葉を交わし笑い合い、人生の喜びを胸いっぱいに吸い込んで見知らぬ異国を歩いてきたのだろう。

こんな想いが私の宝物なのかも知れない・・・早朝の松林を散歩をしながら、ふとそんなことが過りました。

 

これまで旅が終わればそんな事柄や縁あった人々のことをつらつら書いてきました。

もうこの世を去った人々を思えば懐かしく、時間が浄化してくれるように思い出が優しく囁きかけてくれます。パソコンに向かい彼らを思い出しながら、ふつふつと生れる言葉に指がキーを押してゆく・・・想いが絡んで言葉を探りながら次第に私は記憶の波に揺られます。机脇の細窓から見える山が何時の間にか夕景に染まって・・・・こんな時間が好きです。拙いものですが時間を手繰り寄せてつらつら書いている時、こんな想いに会いに行くことなんだろうなと思えました。

 

 

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