とんと晴れ渡った秋空に絵に描いたような鰯雲･･･異常気象が続いてようやく巡ってきた季節へのこの感慨！

何故かこのところのコロナの沈静化で何処かに漂う安堵感から来るのかも知れません。

元来怠け者ゆえ、コロナ禍2年間の思わぬ休息は良い休養と共にアメーバーのように遊び人気質がまた浸食し始めて、そろそろ引き締めねば！と季節外れの啓蟄･･･キリギリス動き始めました。

金の切れ目が遊びの切れ目？12月鹿児島で展示会、ギャラリーを決めて自分の背中を押します。久しぶりでアトリエに入って手始めに帽子一つ目を早速作ってみる。何て楽しい！！もうウキウキです。

でも･･･このコロナ禍で展示会取りやめですでに一回分はストックしてあります。だから楽しみは来月の展示会まで根を詰めないでゆるゆると･･･遊ぶことにしましょう。

今月25日で海辺の早朝散歩開始からちょうど1年経ちました。

７０の手習い？ではないけれど、”家大好き人間”のなまくらな私が散歩するなんて！決まった時間に決まった事をする･･･私が一番苦手なジャンルです。

ただ仕事をするようになって･･･早くアトリエに入りたい！症候群？ってやつを(キッチンの清掃他、諸々の家事が終わるまでの１０時まで仕事に入ってはいけない！)というルールを自分に課してそれは出来るようになりました。

それは仕事終わりの時間も一緒です。でなければどっぷりのめり込むタイプです。

(以前は夫の「もう仕事止めたら?」の声にいらっとしてたもんです。）

アトリエから舞い戻ってすぐさまキッチン入り。夫がお風呂から出てくるまでにお膳に何はなくとも酒の肴が４、５品用意できてること！後は煮物、揚げ物順次出せればOK。要するに彼の「幸せだなぁ」の顔が覗ければ満足！

敵は何はともあれ”酒の肴”で「しあわせだなぁ」も惜しげなく連発すれば

昔は「･･･」今宵はお口に合わのぬと黙って猫に刺身をぽい！それからがしかめっ面の不機嫌モード満載になる男です。

夫の「俺は不愉快だ･･･」の顔ほど腹の立つものはない！あっちがそうなればこっちも凄んでやり返す女です。

「こっちだって疲れてるのよ！あなたは何もしてないじゃないの」って不平が飛び出しそうになる！

粋じゃないですね。だからそんな”不愉快”を作らないようにするために頭を切り替えました。

ギリギリまで仕事やって、キッチンに入ってから湯上がりの彼がお膳に着くまでが私のゲームです。

婿殿が風呂に向かった！さぁゲーム開始。知力技術を総動員でキッチンに立てばまた新たな遊びモードに！

頭の中をあれとこれとああやって･･･冷蔵庫の食材が目まぐるしくパズルのように動きます。

考えながら作業は手順良く三つ口コンロにグリル、オーブン皆フル稼働で大きなお膳一杯の小鉢ものが目安。

生ものに和え物、焼き物に揚げ物煮物･･･全部取り合わせてばたばたと品揃え、後は涼しげに笑って「今日はこんなもので･･･」

「ああ、いいねぇ」今日もゲーム勝ち！居酒屋Yのオープンです。

これが楽しい！って忙しい自分をとコントロール出来たのは成功か？はたまた彼の策略に乗っけられたのか･･･

とにかくこれが私の仕事終わり、後は二人乾杯して夜を楽しむ･･･の日々です。

夫の仕事も波があって･･･このところ乗ってるようです。アトリエに入っている時間が長くなりました。

「良いのが出来てるかも･･･」

それで私にちょっと見てほしい･･･との事で覗きました。

彼が向き合っているキャンバス・・・昔からその姿勢にブレはありません。

昔読んだ高村光太郎の本に「智恵子は私の作ったものを手に包み込んで持ち歩いている･･･」そのようなことが書いてあったっけ。

全部「良いね。良いと思うよ。」と言えれば楽なのですが、私はある意味冷淡なのか･･･

たとえ夫がどんな想いで描いているにせよ、私なりの拘り、それが自分にとって魅力あるものかどうかなのです。

もちろん彼の方も私の感じた通りを率直に言ってほしいと望んでいると思います。

だけどあの日私が言った言葉に彼の気持ちが引いていったのは分かってました。

私が自分の仕事を「楽しい･･･」と思うのと彼の絵に向かうという質の重さが違うのです。けれどそれを選んだ彼の宿命です。

「自分が見たい絵を描きたいのだ･･･」そう言った彼の言葉に私は「それはあなたが見たかった絵？」とストレートに返すしかないのです。

ただ彼は率直です。この辺は私と違うところ。

しばし無言の一日があって「有り難う。深く深く･･･という事に気を取ら過ぎていたかも知れない。」と。

そして今、またキャンバスに向かい始めました。今の大きな流れから静かに外れて黙々と自分の絵に向かいます。

 

先ほど電話あり！日南の友人からの朗報､余命宣告から一年半･･･癌は無くなりました。

あっぱれな秋空です。